【カンブリア宮殿】巨大デイサービス「たんぽぽ介護センター」

1月11日のカンブリア宮殿で、愛知県一宮市のたんぽぽ介護センターたんぽぽ温泉デイサービスが紹介されました。ゲストは代表の筒井健一郎さん。とても興味深い内容だったので、まとめてみました。
(以下、グレーの枠内は筒井さんの言葉です)

たんぽぽ温泉デイサービス

1日の利用者250人、施設スタッフ90人の巨大デイサービス。

施設は吹き抜けの2階建で、ちょっとした体育館のようです。2階には会議室のような小さい部屋がいくつかありとそれをつなぐ通路がぐるっと1周しています。TVに映ったところでは、他に大浴場の温泉、喫茶コーナー、売店、カジノなどもありました。

利用者さんは、来所すると受付カウンター機でチェックイン。同時に豊富なプログラムからやりたいアクティビティを選びます。その数なんと250種類以上。ちょっと見たところ、パン教室や書道教室、頭の体操、入浴介助浴や歯磨き介助なんていうのもありました。

利用料はもちろん介護保険適用なので他の施設と変わりません。

独自通貨「シード」の効果

特徴的なサービスが、施設内で使える「SEED(シード)」の運用。紙幣のような姿のシードは、100・500・1000・10000の4種類があります。

利用者さんは、リハビリや運動をすれば決まった額をもらえます。例えば、2階の通路1周(100m)の歩行訓練で100シード。

代表の筒井さんは、このシードを導入した目的をこう仰っておられました。

要介護状態になると、その家族がお金や通帳などを管理することになる。そこで、施設の中で経済活動をやってみようと。
人間にとって「稼ぐ」「ためる」「使う」これが生きる根本だと思う。

ためたシードの使い道としては、喫茶コーナーでのコーヒー(おやつつき)が500シード。売店のスナック菓子200シード。飴(3個)100シード。

また高額のシードの使い道として「あなたの夢叶えますツアー」があり、利用者さんに人気なんだとか。中身は、墓参り(送迎範囲内)が5万シード、商店街への買い物12万シードなど、街歩きや小旅行などが対象です。実際、ご主人の墓参りで利用された利用者さん、涙を流して喜んでおられました。

昼食はバイキング

昼食もこの施設の売りのひとつ。調理スタッフが栄養面を考えて作った手作りメニューが、毎日20種類以上も並びます。

利用者さんは、自分で好きなものをお皿にとります。それもリハビリのひとつなんだとか。みなさん運動されるので食が進むんだそうです。

見たところ、一般的なバイキングと変わりない雰囲気。具材の大きさも特に細かいということはないように見えました。それどころか、別のグループ施設では、筒井さん自ら釣り上げた鯛のお刺身まで。調理スタッフの方が「ここに来た時くらいは外食のつもりで食べていただきたい」と仰っておられたのが印象的でした。

楽しい場所を作る

利用者さんにどうやって喜んでもらえるか、これが本当の仕事」と筒井さん、利用者さんの楽しみを徹底的に追求しておられます。

楽しい場所を作ろうということで「お年寄りのディズニーランド」を目指してやってきた。
多くの人が集まると、活気が出て楽しさが出てくる。楽しいことを考えていろいろなものを作っていくと、みなさんが生き生きとして嬉しい笑顔になる。

一般的なデイサービスだと1日の流れが決まっていて、みんなで一緒にやる。楽しくないでしょ。特に男性には難しい。
大きな施設にした理由は、自己選択ができるから。自己選択・自己決定が具現化できるから、いろいろなプログラムがある。

規模が大きくなるデメリットは、細部に目が行き届かなくなること。なので利用者さんにお願いしているのは「自分でやれることは自分でやりましょう。これがリハビリの出発点」。
「やれることは時間がかかっても自分でやりましょう。その代わり報酬を払います」ということでシードを使っている。
シードを使うことで、利用者さんに意欲が湧いてきた。リハビリをやる意欲、自分でやる意欲、周囲に負けたくない意欲。

従業員も客も幸せに

工場や土建業、サービス業など職を転々とした筒井さん。若くして物流業の社長になった時は、従業員にもっと働くように要求するばかりで従業員をコマのように考えていたそうです。

しかし労働組合の反対などもあり社長業を引退。2年の無職生活の後、請われて小さなデイサービスの社長になったんだそうです。

お客様に親切丁寧に対応していこうと思った」という筒井さん。そこから18年。今では総スタッフ610人。9割がパートさんなんだとか。

介護未経験の方がほとんどだそうですが、先輩スタッフが丁寧にレクチャーする風土がある様子。また施設内に託児所があり、出産後の復職率100%だそうです。

驚いたのが、子連れ出勤もOKなこと。あるお母さんスタッフの方が連れてきた小学4年生の息子さん。学校が休みの日にはよく施設にくるという彼は、利用者さんにコーヒーを出したりお皿を洗ったり、時には利用者さんと会話したりするなどとても自然な様子で動いていました。お母さんも息子の成長ぶりが嬉しそうな様子で、利用さんも笑顔。素敵ですね。残業も休日出勤も、ゼロだそうです。

介護には「入浴」「排泄」「食事」の世話という三大介護にまつわるものがある。それだけやってもお客様は喜ばない。うまくいかなかったことやお叱りを受けたことを繰り返して、人間と人間とのふれあいの中から「あなたが好きだ」という感情が生まれる。その部分が本当の介護の仕事

地域に開かれた施設

たんぽぽでは、まだ介護が必要ではない高齢者に対して、体操や空手・クラフト教室など介護予防教室を開催されています。

また別の施設では、15周年祭に地域のみなさんにきていただいたり、そのタイミングで施設見学をしてもらって自分たちを知っていただくと同時に将来への備えにしていただいたりもされていました。

いい介護施設を選ぶには?

まず、現場に行って施設を見ること。いちばん見なければいけないのは、スタッフ。スタッフに笑顔があるか。
その他、挨拶や整理整頓ができているか、トイレがきれいかどうかなどを見て「いいな」と思たらだだいたい大丈夫。

これは仰る通りだと思います。たんぽぽのスタッフさん、笑顔が多かったですね。

これから介護事業者として大事なもの

大事なことは、担い手という働く人。
「ここで働きたい」という施設づくりをしていかないと、気がついたら担い手がいないという時期が来ている。職場の改革以外は何もない。「ここがいい」というのは、利用者だけではなく働く人も一緒。

感想

村上龍さんも仰っていましたが、利用者さんが明るく楽しそうなのが印象的でした。歩けなかったのにリハビリで歩けるようになったという方も何人か登場。自ら訓練する習慣ができているようでした。これは嬉しいですよね。

介護職としてはスタッフの動きが気になるところでしたが、映像で見る限り、思ったほど利用者さんにつきっきりという感じではなさそうでした。

例えば、大浴場では洗髪介助のスタッフが数人おられましたが、湯船にいる方(おそらく片麻痺)には介助者はいなかったし、移動も利用者さん、自分でスタスタという感じです。

私が以前勤めていた施設では、食事は利用者さんごとに量が決まっていたり、入浴やおやつの時間も毎日何時と決まっていました。それからするとたんぽぽさんはとても自由な感じですが、食事制限や服薬、認知症ケアなど個別対応はどうされているんだろうと気になりました。車椅子の方も結構おられたので、トイレ介助だけでもかなりの回数になるはず。

もちろんテレビには映っていないところでたくさんお世話をなさっているのだと思いますが、いい意味で、利用者さんの力をとても信頼されている感じがしました。私たちがお手伝いしなくてもできる。できるようになる。「危ないから」「時間がないから」と必要以上に手を出していたかもしれないと感じました。

「喜んでもらえていることを実感できるから介護はすごい」と仰っていた筒井さん。ほんとそうですね。スタッフ数が多いと、教育や情報共有・・・いろいろ工夫が必要だと思いますが、利用者さんと触れ合っているスタッフさんの笑顔を見ると、その辺りもうまく回っているのかなあと思いました。

ありがとうございました。