認知症のAさん。不穏の原因は椅子の位置?

デイサービスで入浴介助をしているんですが、認知症の方で時々入浴拒否されることがあります。

多いと言われますね。認知症の方の入浴拒否。裸になるのがイヤとか、いろいろ理由はあるようです。

女性の利用者Aさん。認知症が進んでいます。

毎回あの手この手で誘導するのですが、脱衣の途中で突然拒否が始まるなど、どこに切り替えポイントがあるのか手探り状態。

スケジュールが立て込んでいる時などは困ってしまうんですが、それでもお風呂に入った時の気持ち良さそうな顔を見ると、何とか入浴させてあげたいなあと思うんですよね。。。

それが最近、拒否なくスムーズにいくことが増えてきたんです!

きっかけは予定変更

うちの施設の脱衣所には、椅子がいくつかあるんですが、Aさんはいつも同じ椅子に座ってもらっていました。

少しでも馴染んだものの方がいいだろうという考えからです。

ところがある日、スケジュール変更が続いて他の椅子に座っていただくことになったんです。

そしたらその日はスムーズで。まあ調子がよかったんだろうぐらいに思ってたんですが、先輩がふと、言いました。

「この椅子のせいじゃない?」

思い当たるフシはある

そういえばそうかもしれない。なぜなら、その椅子からはお風呂の中がいちばんよく見えるんです。

認知症の人は視界が狭まり、ほぼ正面しか見えない場合もあるといいます。

Aさんの視界がどの程度か正確にはわからないんですが、狭まっているのは確かです。

「お風呂ですよ」と声かけされた時は理解するんでしょうが、いざ脱衣所に来て、視界にお風呂がなかったのかもしれない。

どこに連れて行かれるんだろうと不安が募ったのかもしれない。

あぁ、そっかぁ。Aさん、今までごめんねと心の中でつぶやきました。

ちなみにその椅子、「お風呂がよく見える」以外の点については、あまり他より優れているところはありません。

椅子の安定性や介助のしやすさ、おそらく本人の動作性も、他の椅子の方が安心して使える感じです。

でも、違うんですね。今から行くところが正面に見えるかどうか。

Aさんには、それがいちばんだったんだと思います。

これからも見つめていくよ

介護には一応これがセオリーと呼ばれるやり方があります。

もちろん安全性は確保しつつも、やっぱり現場でその人に合ったベストを探す眼は持っていたい。

そのためには、いったんセオリーから外れることも時には必要かもしれない。

経験を積んでも、発想の柔軟さを持っていたいなあ。

新しい定位置に座り、笑顔になったAさんを見てそんなことを感じました。