NHK認知症番組「驚きの介護術でみんなハッピー!」今すぐできる介護術を紹介

NHKで4月26日に放送された「認知症 ともに新しい時代へ」。第3回は「驚きの介護術でみんなハッピー!」でした。

出演者は、井ノ原快彦さん・小野文恵アナ、識者として遠藤英俊医師(国立長寿医療研修センター)、本田美和子医師(国立病院機構東京医療センター)、髙見国生さん(公益社団法人認知症の人と家族の会)など。

介護術で利用者さんがどう変わるのか、介護する側としてもとてもわかりやすい内容だったので、シェアしたいと思います。

積極的な水分摂取で認知症緩和

水分摂取を積極的にすすめることで、認知症の症状が和らいだという施設が紹介されました。会話できなかった方ができるようになったり、目に見えて元気になられたんだそうです。

認知症になると、喉の渇きを感じにくくなったり、お手洗いが心配なあまり、水分をとらなくなりがちに。

この施設で調査したところ、入所前の平均水分摂取量は必要な量の7割ほどだったそうで、適切な水分摂取を目指して、冷蔵庫には常時30種類ほどの飲み物が入っています。

驚いたのは、お茶や牛乳などだけでなく、甘めのジュースや炭酸飲料まであるところ。利用者さんが好きなものを飲むということが、しっかりした水分摂取に繋がるんだそうです。

十分な水分をとると活動的になり、運動もできるように。運動できると食事の量も増え、自然な排泄に繋がるとまさに好循環

この取り組みで、要介護4から要支援2になった方もおられるそうです。施設の映像も映されましたが、みなさん元気元気。オムツを使っている人はいないとのことで、マシンで運動されている様子も紹介されました。

ただ、水分摂取量が多くなるとトイレの回数が多くなり、失禁につながることもあります。

髙見国生さんがおっしゃっていましたが、「本人のためになることと、介護する立場のためになるものが相反する場合がある。それが介護の難しいところ」。

ご家族にとっては悩ましいところですね。。。

自治体によっては地域ぐるみで取り組み、手助けとなるようなサービスがあるところも。紹介された宮崎県小林市では、認知症サポーターのボランティアがあり、運動不足の利用者さんと一緒に散歩する映像が紹介されました。認知症の症状も改善されているそうです。

高齢になると水分不足になりがちなので気をつけるようにとはいいますが、ここまで影響があるとは。たかが水、されど水。びっくりでした。

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認知症を体感

最新のVR技術で、認知症を体感できるシステムが紹介されました。ゴーグルをつけると、認知症の人が見えているであろう景色が映し出されます。

そこで紹介されたのが、送迎の車から降りるのを拒むという行為。

車と地面の段差約15cmが、認知症の人には感覚の障害のせいでビルの3階ほどの高さに感じられているのだとか。そりゃあ怖くて降りられませんよね。。。

レビー小体型認知症の人に見られる幻覚症状も紹介されました。

絶対いるはずのないものが見えたり、突然消えたり。映像では犬がポッと現れてスッと消えましたが、まさにVRの世界で、ちょっと不気味でした。

井ノ原さんも実際に体験されましたが、「積極的に『行きましょう』と言われても(ビルの3階からは)行けない。この人たちを信用していいのか、騙しているんじゃないかという気持ちになった」とおっしゃっていました。

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ユマニチュードによる介護

ユマニチュードとは、フランス人のイブ・ジネストさん考案の介護術。その哲学は、「ケアする人とされる人が絆を深めながら行う」ことで、150を越えるテクニックから成り立っているんだそうです。

ポイントは、見る・話す・触れる・立つ の4つ。

見る

認知症の人は視界の中心しか認識できない場合があるので、正面から近づき見つめることがポイント。

ケアの最中は、ケアの部位に目が行くので、意外と目線は外れがち。どんな体勢でも相手の目線から離れないことが大事だそうです。

話す

ポイントは、穏やかな声で実況中継のように話しながらケアをすること。

ものを忘れやすくなっている認知症の人でも、細かく話してもらえることで安心してケアを受け入れやすいんだそうです。

触れる

ポイントは、優しく。つい掴んでしまいそうになりますが、相手の動く意思を尊重して下から優しく支えます。

立つ

ポイントは、できるだけ立つ機会を作って、前向きな気持ちを引き出してあげること。

大事なのはコミュニケーション

このユマニチュードを使って介護した利用者さんが紹介されました。

口腔内に薬剤塗布が必要なんですが、見たところ寝たきりで口に手を入れられることにも激しく拒否反応があります。

ところが、目を合わせ、穏やかに語りかけ、手を握り、安心感を与え、ケアの間も常に語りかけていくうちに、利用者さんは拒否を示すことなく口を開けていました。

次の日は、なんとご本人自ら薬を塗っています。それは前日のケアが終わる時に、ケアは気持ちのいいものだという印象を持ってもらえるよう語りかけたから。「素敵よ」「嬉しいわ」の言葉が何度も繰り返されていました。

5日後には、なんと車椅子から立つことにもチャレンジ。

1ヶ月後には、座ってお化粧もし、看護師との会話のやりとりもできるようになられていて、その明るい表情は初日とはまるで別人のようでした。

識者の方によると、これはコミュニケーションのなせる技だそうです。

いや、本当にびっくりしました。介護術ひとつでこんなにも変わるなんて。

一方で、識者の方が言われていたのは、テクニックだけに走らないように気をつけることが大事だということ。

確かに。心があっての技術ですよね。。。

寄り添うウソ

紹介されたのは、施設で急に帰りたいと言い出した認知症の利用者さんに対し「今、大雨ですよ」「昼食のお手伝いお願いします」と言っておさめた事例。

他にも、入浴を嫌がる方には「健康診断ですよ」と言って入浴していただくとか、ドアには「故障中」(実際は故障していない)と張り紙をしておくとか、いろいろなやりとりが紹介されました。

これを「寄り添うウソ」と表現されているんですね。

私も現場で使うことがありますが、どこまで言っていいのか、この人にはどういう言い方がいいのか、まだまだ手探り状態なので難しいです。

施設の方が言われていましたが、「寄り添うウソをつくためにはその人を知らなくてはならない」。

まさにその通りだと思いました。

まとめ

「介護」「認知症」というと何かと暗いイメージで捉えられがち。

でも遠藤英俊さんによると、日本は介護先進国なんだそうです。だから未来は明るいと信じてますと。

介護に携わる者としては嬉しい言葉ですが、放送中に流れていたTwitter投稿では、「現実は・・・」なんて言葉もちらほら。

今回紹介された水分摂取やコミュニケーションなどは、すぐにでも始められそうなことばかり。

自分を振り返る意味でも、わかりやすい、いい番組でした。

ありがとうございました。